はじめまして。ファイナンシャルプランナーの山村希美と申します。今回は家を買う時に利用する住宅ローンについてご紹介していきたいと思います。
家を買うときに必要な資金はどうやって用意しますか?家を買うための資金を、全て現金で支払うという人はほとんどいないでしょう。多くの方は住宅ローンを組んで家を購入されると思います。そしてほとんどの方は住宅ローンの借入期間が30年や35年と長期にわたるため、無理のない借り入れ金額を考える必要があります。そこで今回は、年収から考える無理のない住宅ローンについて一緒に考えていきましょう。
目次
住宅ローンの基本知識:4つのポイント
家を買う時に利用する住宅ローン。まずは住宅ローンの基本知識や、関係の深い団体信用生命保険(団信)をご紹介します。
その1.住宅ローンとはどんなもの?ローンの対象範囲は?
住宅ローンとは、その名の通り「住宅購入のために利用できるローン」のことです。銀行や信用金庫などの金融機関でお金をまとめて借り入れし、長い期間をかけて利息とともに毎月コツコツ返済を行っていきます。
住宅ローンは住む家のために借りるローンなので、家を建てるときだけでなく、中古の一戸建てやマンションなどの中古物件はもちろん、購入した物件のリフォーム費用も対象となります。
その2.住宅ローン申請の前にライフプランシミュレーションを!
住宅ローンを利用するならば、ぜひ行っていただきたいことがあります。それが「ライフプランシミュレーション」です。
ライフプランシミュレーションとは?
10年後、20年後、30年後と、将来の生活を具体的にシミュレーションする。今後の人生設計をどうしたいのか。この先の人生でどのようなイベントが起こるのか。どのタイミング・どの年齢で、いくらの出費があるのか。出費に備え、いつまでにいくら貯金しておかなければいけないのか。などを具体的に考えることです。
ライフプランシミュレーションを行うことで、住宅ローンで借り入れる金額が、今後のあなたやあなたの家族にとって、無理のない金額なのかを判断する材料となるでしょう。ぜひ住宅ローン検討時にライフプランシミュレーションを行ってください。
その3.団体信用生命保険(団信)と住宅ローンの関係
住宅ローンを組む際によく耳にするのが、団信という言葉。団信とは団体信用生命保険の略です。住宅ローン専用の生命保険で、住宅ローンの契約者に万が一のことがあった場合に、住宅ローンの返済を肩代わりしてくれる保険となります。この団信は一部を除きほとんどの金融機関で加入が必須となっています。
その4.団体信用生命保険(団信)の支払い方や特徴
団信の保険料は、住宅ローンと別に支払うわけではなく、毎月の住宅ローン返済時に金利に上乗せして支払います。また、団信は生命保険なのでがんや病気になったときに一時金が出るタイプのものもあり、うまく活用すれば他で支払っている保険料を削減することもできます。逆に、病気やケガで働けなくなったときの収入保障という面では、保障が弱い場合もあるので、加入時に保障内容と他で加入している保険を照らし合わせて確認すると良いでしょう。
住宅ローンの審査ってなにをするの?スムーズな借り入れのための準備とは?
住宅ローンを利用するためには、金融機関があなたにお金を貸しても、きちんと返済してくれると判断してもらわなければなりません。その判断をするために、住宅ローン申請時には必ず審査がおこなわれます。ここでは住宅ローンの審査内容や流れ、注意点などを見ていきましょう。
住宅ローンの審査とはどんなことをするの?流れも知っておこう
事前審査
住宅ローンの審査をするのは金融機関です。銀行などの金融機関へ事前申し込みを行うと、いきなり本審査へ進むのではなく、まずは事前審査がおこなわれます。本審査には時間と労力がかかるため、本審査よりもスピーディーな事前審査が行われています。
本審査~融資
事前審査がOKとなれば正式申し込みとなり本審査へ進みます。本審査がOKとなれば住宅ローンの契約をおこない、融資という流れです。事前審査・本審査ともに、契約者の年収や勤務先、職種、他社での借り入れ状況などを審査されます。
審査を通すために注意した方が良いこと
審査では年収や資産も重要ですが、「毎月きちんと返済してくれる人なのか」という部分も見られます。そのため、過去に滞納経験があったり、他社での借り入れ額が多かったりすると、融資額の減額や融資できないという結果になることもあります。審査時に銀行が調べればわかることなので、審査を申し込む前にまずは銀行の方や不動産会社の方に隠さず相談してみましょう。
頭金って必要なの?
住宅を購入する際にローンではなく現金で支払う部分が頭金ですが、実際に頭金は必要なのでしょうか?結論からいえば、頭金がゼロでも住宅ローンを組むことはできます。ただ、住宅ローンの借り入れ額が多ければ、当然毎月の返済額も多くなるので、返済額が家計を圧迫する可能性も出てきます。ただし。頭金をたくさん支払い貯金がなくなってしまっても本末転倒です。頭金と借入額は銀行の方と相談して、バランスを見極めましょう
年収から考える無理のない借り入れ金額とは?
年収から考える無理のない住宅ローンの借り入れ金額とはいったいどれくらいなのでしょうか? 住宅ローンを組む前にどんな家に住みたいのかということも大切ですが、重要となるのが予算です。理想の家に住むのが1番ですが、高すぎて予算的には厳しいということもあるでしょう。ここでは目安となる金額とともに、借入額の考え方をご紹介いたします。
今の年収でどれだけ住宅ローンが借りられるの?
融資額は審査で総合的に判断されますが、年収でおおよその融資額を導き出すこともできます。銀行のホームページで簡易シミュレーションができるので、ぜひ活用してみてください。今回は銀行のサイトを参考に、返済年数35年、金利1.56%(元利均等返済)の場合で記載しています。金融機関によって貸付上限や審査などが異なるので、あくまで参考値としてください。
返済年数:35年
金利:1.56%
返済方法:元利均等返済
- 300万円……2,560万円
- 400万円……3,410万円
- 500万円……4,260万円
- 600万円……5,120万円
- 700万円……5,970万円
- 800万円……6,820万円
- 900万円……7,680万円
- 1,000万円……8,530万円
年収から考える無理のない住宅ローン金額の計算式はこれ!
年収から考える無理のない住宅ローンの金額の簡単な計算方法は年収の5倍~6倍です。たとえば年収500万円であれば、だいたい2,500~3,000万円くらいになります。一般的には年収の7倍や8倍まで借り入れ可能ともいわれているようですが、将来の返済を考えても無理のない金額にすることをおすすめします。
借り入れ可能額ギリギリの金額を借りる場合の注意点
どうして無理のない住宅ローンが大切なのでしょうか?
もし借り入れ可能額ギリギリを借りた場合、将来子どもの学費増加や転職による年収減少などが起きたときに、家計が苦しくなってしまいます。目先だけでなく長い目で見ることが生活の変化に対応しやすく、無理のない住宅ローンを組むことができるでしょう。そのためにも、ライフプランシミュレーションを行うことをおすすめします。
実際に住宅ローンのシミュレーションをしてみました!
年収500万円で3,000万円の住宅ローンを組もうと考えている人のシミュレーションをしてみました。簡易シミュレーションを使って算出しているので、参考値としてください。(金利1.56%、元利均等返済)
- <条件>
- 年収:500万円
- 住宅ローン:3,000万円
- 金利:1.56%
- 返済方法:元利均等返済
パターン1 頭金を用意しなかった場合
- 借り入れ金額:3,000万円
- 借り入れ期間:35年
- 毎月の返済額:92,740円
パターン2 頭金を200万円用意した場合
- 借り入れ金額:2,800万円
- 頭金:200万円
- 借り入れ期間:35年
- 毎月の返済額:86,557円
パターン3 頭金を300万円用意した場合
- 借り入れ金額:2,700万円
- 頭金:300万円
- 借り入れ期間:35年
- 毎月の返済額:83,466円
頭金を支払う場合とゼロの場合の違い
頭金で300万円支払う場合と頭金ゼロの場合と比べると、毎月9,000円ほど支払額に違いがでます。子どもがいるご家庭の場合は、その分貯金ができたり習いごとに支出したりできるでしょう。しかしこの頭金を入れることで、貯金がほとんどなくなるということであれば300万円を頭金にするのはやめた方が良いかもしれません。
まとめ
- 住宅ローンを検討するときは家計の見直しも合わせてしよう
- 住宅ローンを組むときには、家庭にどれだけの貯金や負債があるのかなど、収入と支出のバランスを把握する必要があります。これを把握することで、自分にとって無理のない住宅ローンの金額が見えてくるはずです。今の生活状況がずっと変わらず続くという保障はありません。どんな変化にも対応できるように、住宅ローンを組む場合は借り入れ可能額ギリギリでなく少し余裕を持たせておくと安心です。