FPが教える、相続について② 不動産の相続について

こんにちは、2級ファイナンシャルプランナーの資格を持つ山村希美と申します。「相続について①」では相続手続きや相続税について紹介しましたが、今回は不動産の相続についてご紹介していきたいと思います。

関連記事:FPが教える、相続について① 相続の手続きと相続税について

相続の手続きはめったに行わないので、どうしたら良いのかわからないという人がほとんどです。ましてや不動産の相続となったら余計に困ってしまう人もいるでしょう。普段行わない手続きだからこそ、どういった手続きが必要となるのか簡単に押さえておくと、いざ不動産の相続手続きが発生したときに慌てなくてすみます。ここでは、不動産相続で知っておきたいことや相続後の話などを解説していきます。

不動産を相続することになった!知っておきたいことは?

不動産を相続したらまずは相続登記(名義変更)

ポイント!言葉の説明
相続登記とは……簡単にいうと家などの不動産の名義変更のことで、亡くなった人=被相続人から相続人へ変更します

相続登記(名義変更)しておかないともめる原因になる!?

不動産を相続すると決まったらまず初めに、相続登記をしなければいけません。もし、不動産の相続登記を行っていなかった場合、家や土地などの不動産が自分のものであると主張ができなくなったり、ほかの相続人に相続予定の不動産を売却されたりするケースが発生するなど、さまざまなトラブルに発展し、もめる原因になってしまうことがあります。不動産を相続することがわかったら、まずは相続登記を行いましょう。

相続登記は誰がするの?どこでするの?

相続登記は法務局で行うことができます。
手続きは自分でも可能ですが、慣れない手続きで不安、どうすればいいかわからないという人は司法書士に依頼するのもひとつの方法です。

相続登記に期限はあるの?

相続登記はいつまでに完了させないといけないという期日は特に設けられていませんが、相続登記を完了させておかないともめる原因にもなるので注意してください。
不動産を相続することがわかったらすぐに行うことをおすすめします。

不動産相続にまつわる税金控除について

不動産も預金などと同じように相続課税対象となり、相続における基礎控除額が使えます。また、不動産相続にはその他にも特例がありますので、ぜひ参考にしてください。

ポイント!基礎控除額の計算方法
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人(民法で定められた相続人のこと)の人数

小規模宅地等の特例について

相続税がこの基礎控除額を上回ってしまうときに使えるかもしれないのが、小規模宅地等の特例です。小規模宅地等の特例とは、自宅の不動産330㎡までの評価額を80%評価減にしてくれます。ただし、自宅がある不動産が対象となるので、更地などの不動産は対象外です。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、簡単にいうと、「相続した不動産は今も今後も居住しているものなので、相続課税対象として計算する場合は相続財産評価額を下げます」といったもの。
そうすることで、相続財産が圧縮され当初の計算では相続税がかかる可能性があったものが、相続税がかからなくなることもあります。小規模宅地等の特例を受けられるのは配偶者や同居家族など、いくつか決まりがあるので税理士や弁護士に相談してみると良いでしょう。
このほかに貸付事業用宅地や特定事業用宅地も適用対象となるので、そういった宅地を所有している人も相談してみると良いですよ。

ポイント!言葉の説明
貸付事業用宅地とは……被相続人が貸付事業のために使っていた土地
特定事業用宅地とは……被相続人が事業のために使っていた土地

不動産相続にはどれくらいの費用がかかる?

基礎控除額などを使って相続税が発生しないとなっても不動産相続では費用が発生します。その費用とはいくらくらいなのでしょうか?

(1)自分で不動産の相続手続きを行う場合

司法書士や弁護士といったプロに依頼せず、自分で手続きすることもできます。ただ、あまり手続きに詳しくない人だと時間がかかったり不備が出てしまったりすることもあるでしょう。
自分で手続きを行う費用は、登録免許税と戸籍など必要書類の取得費用です。登録免許税は、不動産を所有する人にかかる固定資産税額の0.4%、たとえば固定資産税額を2,500万円としたら10万円になります。これに戸籍などの取得費用が必要となるでしょう。

(2)専門家に不動産の相続手続きを依頼する場合

「自分でするのは面倒だし登記はプロに任せたい」という人は、司法書士や弁護士がおすすめです。税理士に相談することはできますが、登記は司法書士や弁護士の仕事になります。もし司法書士に相続登記を依頼したら、3万円から7万円ほどの報酬と登録免許税、戸籍など必要書類の取得費用がかかります。依頼する事務所によって金額も違うので、事前に報酬金額について確認しておくと良いでしょう。

不動産を複数人で相続する場合はどうするの?

不動産を相続する際は、相続する人が1人とは限りません。ここでは、不動産を分割して相続する際に行う4つの方法について紹介していきます。

(1)現物分割

一般的な方法で、現物をそのまま相続するというものです。たとえば不動産は兄が、現金は弟といった方法です。

(2)代償分割

代償分割とは相続人の代表者がまとめて相続し、ほかの相続人へは相続分を現金で渡すという方法になります。

(3)換価分割

換価分割とは相続財産をすべて現金に換金し、相続分に応じて現金を分ける方法です。

(4)共有分割

共有分割とは、相続財産を相続人で共有するという方法になります。
このように4つの方法があるので、相続財産や相続人の状況に合わせて話し合うと良いでしょう。

不動産は相続手続きが終わったら終了ではない!

現金などの相続手続きは名義が変われば好きなように使えますが、不動産はそうはいきません。管理や費用などが発生する場合もあるのです。どういったことに注意した方が良いのか解説していきます。

更地の固定資産税が高いって本当?

土地などの不動産を所有すると、毎年固定資産税を支払わないといけません。そこで重要となるのが、家があるか更地なのかということです。家がある場合は住宅用地としての特例がありますが、更地だと特例はありません。そのため家がある方が固定資産税の費用は抑えられます。しかし家があっても管理ができていない空き家となると、空き家の管理を義務付ける法律「空き家対策特別措置法」が適用され、固定資産税負担が増す場合もあるのです。

相続した不動産を管理するのは大変!誰に相談する?

上記のように、家があっても空き家となってなかなか手入れができないという人は、賃貸や売却を考えるのも良いでしょう。不動産相続の場合、売却のタイミングなどを押さえておかないと税金の負担が増えることもあります。

まとめ

不動産は相続したあとも大変!事前に話し合っておこう
「切り分けられない」、「売却しにくい場所にある」など、不動産相続は手続きもその後の管理も大変なことばかりです。不動産があるという人は、手続きや管理などを任せられるような不動産会社を見つけ、事前に整理したり相続のときはどうするのかなどを話し合ったりしておくと良いでしょう。
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執筆:山村 希美

この記事の執筆者

山村 希美

2007年証券会社入社。窓口などで投資の相談や提案を行う。2011年2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験合格。結婚、転勤を機に退職。出産後ライターとして活動中。短期長期の家計把握や投資などお金にまつわる情報収集をしながら記事の執筆を行う。FPの知識を生かして、マンションの購入・売却も経験。その後、現在の住まいである一戸建てを購入。