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2021年03月04日

住宅ローン「親子リレーローン」の審査基準やメリットとデメリットは?|FPが教える二世帯住宅③

前回の「FPが教える二世帯住宅」シリーズ第2弾では、親子リレーローンについて説明しました。今回はファイナンシャルプランナー(FP)2級の資格を持つ筆者が、親子リレーローンの特徴や審査基準など、親子リレーローンについてさらに詳しく解説いたします。 関連記事:二世帯住宅の住宅ローンや登記方法|FPが教える二世帯住宅①
関連記事:住宅ローン「親子リレーローン」とは?|FPが教える二世帯住宅②

親子リレーローンの特徴は?審査基準とは?

住宅ローンは借りる人の状況や家族形態などに対応できるように、さまざまな種類があります。その1つが親子リレーローンです。まずは、親子リレーローンの特徴や要件、審査基準などを把握しておきましょう。

親子リレーローンの特徴

親子リレーローンとは、住宅ローンを親と子でリレーするように返済していく方法です。住宅ローン契約後、最初に返済していくのは親で子は返済を行いません。そして、返済期間の途中から子どもが親に代わって住宅ローンの返済をし、親の返済は終了となります。そのため、住宅ローンの契約本数は1本、それを交代で返済し続けるのが親子リレーローンの特徴です。

親子リレーローンの要件

親子リレーローンを申し込むにはいくつかの要件があります。要件とは重要なポイントや条件の事。銀行や住宅金融支援機構など金融機関によって少しずつ違いますが、ここでは一般的な要件をご紹介していきます。

現在親子が同居中か同居予定である

親子リレーローンと呼ばれているだけあって、現在同居中または、今後同居する予定のある人が対象です。ただし、住宅金融支援機構の「フラット35」では、この要件は含まれていないので、同居しなくても親子リレーローンを組める可能性があります。

親と子の関係

たとえばエントランスがオートロックで防犯カメラを設置しているマンションも多く、一戸建てよりセキュリティが充実しているのが特徴です。また、平日は管理人が常駐している場合もあり、共用部分の清掃をしたり受付をしたりしているので、安心感が増すというメリットもあります。

申し込み年齢が70歳未満

どの金融機関でも共通の項目で、申し込みできる年齢は20歳以上70歳未満となっています。最終の返済年齢は、満80歳未満と設定されているのが一般的です。

親子リレーローンの審査基準は厳しい?

親子ローンだから他の住宅ローンの審査よりも厳しいということはありません。 そもそも住宅ローンの審査とは、住宅ローンを貸す金融機関と万一のときの債務を保証する信用保証会社が、借主に返済能力があるかどうかを確認するためのものです。そのため親子リレーローンも他の住宅ローンと同じように、年収や貯蓄額、他の金融機関での借り入れ状況など詳しくチェックされます。

親子リレーローンに向いている人とは?

親子リレーローンには、親と子の双方が双方の保証人になる役割があります。 そのため「資産があるにも関わらず、高齢を理由に毎月の返済能力を低く見られてしまう親世代」、「現段階での年収は少ないものの、今後返済能力が上がりそうな子世代」に向いている住宅ローンです。親と子それぞれの弱い部分を補強しあい、信用力を上げられるでしょう。

親子リレーローンのメリットとデメリット

親子リレーローン4つのメリット

メリット①借り入れ可能額が増やせるかもしれない

親子ローンの住宅ローン審査は、親と子の返済能力を審査されるので、それぞれの収入や貯蓄額を合算して判断されるでしょう。それによって、1人で住宅ローンを借り入れるより、借り入れできる金額が増える可能性があります。結果として、希望通りの家を建てる事ができたり、少し余裕を持たせた土地を購入できたりするかもしれません。ただ、借り入れ可能額が増えたからといって、可能額ギリギリまで借りてしまうことのないように注意しましょう。万一のことがあった場合に、住宅ローンの返済が苦しくなる場合も出てきます。

メリット②親子2人で借り入れるものの手数料などは1件分

親子リレーローンは親と子で組む住宅ローンですが、住宅ローン契約の数は1本のみとなります。そのため住宅ローンを申し込むときに必要な保証料や手数料は、1件分で良いのがメリットです。2人分の効果がありつつ、コストを抑えられるのはうれしいですね。

メリット③住宅ローン返済期間が長くなるかもしれない

親子リレーローンの場合、子の年齢も審査基準となります。仮に、60歳の親が単独で住宅ローンを申し込もうとすると、80歳までに完済しなければならないため、返済期間は20年ほどです。しかし、30歳の子と共に親子リレーローンを申し込めば、子の年齢も一緒に判断されるので、返済期間は一般的な最長返済期間である35年が適用される可能性が高いでしょう。返済期間が長くなれば、毎月の返済額を抑えられます。

メリット④住宅ローン控除を親子で受けられる

住宅を購入した場合、税金面でいくつか控除を受けることが出来ます。 そのうちの1つが住宅ローン控除です。住宅ローン利用者の金利負担分を軽減するために作られ、所得税から控除する仕組みとなっています。親子リレーローンであれば、特定の条件を満たすことで、親と子のそれぞれが住宅ローン控除を受けられるでしょう。

親子リレーローン3つのデメリット

デメリット①親が亡くなっても住宅ローンは残る

通常の住宅ローンの場合、住宅ローン返済者である債務者が亡くなると、団体信用生命保険により残りの住宅ローンが返済され、毎月の返済はなくなります。しかし親子リレーローンの場合、主に子が被保険者になるため、親が返済中に亡くなっても住宅ローンの返済は続くでしょう。むしろ、想定していたよりも早い段階で子が返済しなければならなくなり、毎月の返済に苦しむ事例もあります。

デメリット②親子リレーローンを組むと連帯債務者になる

親子リレーローンでは、子は親の連帯債務者です。そのため、子が車の購入や他の家の購入のためにローンを組もうとしても、ローンの審査に通らない場合があります。ローンの審査では、借り入れ状況や年収などが総合的に判断されるので注意しましょう。

デメリット③相続税や贈与税でもめる可能性がある

これまでのシリーズで紹介したように、二世帯住宅にはいくつかの登記方法があります。 そのため、登記によっては親の所有部分が相続財産となり、二世帯住宅なのに他の兄弟と相続でもめるかもしれません。また、そうならないために複数設定している所有権を解消しておこうとすると、贈与税が発生するかもしれません。もめごとを作らないためにも、親子リレーローンを検討する段階で、他の兄弟を交えて話し合いをしておくと良いでしょう。

親子リレーローンを組む金融機関を選ぶポイントとは?

金融機関には住宅ローンの取り扱いがあり、親子リレーローンを含むさまざまな住宅ローンがあります。そこで、住宅ローンを検討するときに、金融機関を選ぶポイントをチェックしておきましょう。

金利をチェックする

金利とは、住宅ローンの借り入れ金額に応じて支払う利息のことです。 そのため、金利が低い方が利息は少なくなります。住宅ローンの金利には、金利が変動する変動金利や一定期間金利を固定する固定金利などがあり、金融機関によっては金融機関内のサービスと組み合わせることで金利が低くなることもあるようです。できるだけ好条件の金利となるように、他の金融機関の金利状況と合わせて情報収集しましょう。

諸経費をチェックする

住宅ローンを契約すると、事務手数料や保証料など諸経費が発生します。 もちろん諸経費なので支払わなければならない費用ですが、可能であればおさえたいものです。事務手数料に関しては、借り入れ金額に応じて変化する場合と、借入額に関係のない定額の場合があります。保証料については、保証会社を利用した場合に発生するもので、金融機関によっては保証会社を利用しない場合もあるでしょう。そうなると保証料は不要なので、その分の費用をおさえられます。住宅ローンを契約する際には、こういった諸経費についても事前に確認しておきましょう。

繰り上げ返済時の手数料をチェック

繰り上げ返済とは、毎月の住宅ローン返済とは別に、債務者が希望して追加返済するもので、住宅ローンの元金部分に充当されます。つまり繰り上げ返済をすることで、総返済額を減らし返済期間を短くすることも可能です。ただ繰り上げ返済には、繰り上げ返済手数料が必要になったり、返済用資金を送金するのに手数料が発生したりします。いずれ繰り上げ返済する予定がある人は、必ずチェックしておいた方が良いポイントです。

まとめ

通常の住宅ローン審査と審査基準は変わりません。それよりもメリット・デメリットを理解したうえで親子リレーローンを検討してみましょう
年齢的なことや収入面で住宅ローンを利用できず二世帯住宅を諦めていた人にとって、親子リレーローンは二世帯住宅を購入できる1つの方法といえるでしょう。 単独で借り入れする方がわかりやすいかもしれませんが、親子リレーローンにするメリットもあるので、デメリットを考えつつ総合的に判断してみてください。また、二世帯住宅を検討するのであれば、将来もめないためにも他の家族を交えて話し合いをしましょう。

執筆:山村 希美

この記事の執筆者

山村 希美

2007年証券会社入社。窓口などで投資の相談や提案を行う。2011年2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験合格。結婚、転勤を機に退職。出産後ライターとして活動中。短期長期の家計把握や投資などお金にまつわる情報収集をしながら記事の執筆を行う。FPの知識を生かして、マンションの購入・売却も経験。その後、現在の住まいである一戸建てを購入。