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住宅ローン「親子リレーローン」とは?|FPが教える二世帯住宅②

シリーズで連載している「FPが教える二世帯住宅」。今回はシリーズ第2弾として、ファイナンシャルプランナー(FP)2級の資格を持つ筆者が、二世帯住宅の住宅ローンに着目し、特にその中でも親子リレーローンを詳しく解説していきます。親子リレーローンとはどういうものか、メリットやデメリットなどを一緒に考えていきましょう。 関連記事:二世帯住宅の住宅ローンや登記方法|FPが教える二世帯住宅①

親子リレーローンとは?

親子リレーローンとは、住宅ローンを親と子がバトンタッチして返済していく方式のことです。まず親が住宅ローンを組み返済をしていきます。その後、子がその住宅ローンをリレーのように引き継いで返済するのが親子リレーローンです。

親子リレーローンはなぜあるの?

一般的な住宅ローンは返済期限の上限が35年、契約者が80歳未満です。
例えば、親が通常の住宅ローンを契約して、80歳までに完済しようとすると、返済期間が短くなるため、毎月の返済額が返済期間35年の時よりも多くなります。しかし親子リレーローンにすると、子どもの年齢を基準に返済期間が決定されます。結果、金融機関の要件によって異なりますが、返済期限が長くなり毎月の返済額を軽減する効果が期待できます。

親子リレーローンの特徴は?どんな人に向いている?

二世帯住宅の購入で使用できる住宅ローンの種類は、主に単独ローン・ペアローン・親子リレーローンの3つです。この中で二世帯住宅特有なのが親子リレーローンです。それでは具体的に親子リレーローンについて説明していきましょう。

親子リレーローンとペアローンの違いとは?

親子リレーローンもペアローンも親子で住宅ローンを組む方法ですが、なにが違うのか詳しく見ていきましょう。

ペアローンとは?

親と子でそれぞれ住宅ローンを組む方法です。

住宅ローンの契約数が違う

親子リレーローンの契約数は親子で1つです。一方でペアローンの場合は、親と子それぞれで住宅ローンを組むので、契約数は2つとなります。

返済のタイミングが違う

親子リレーローンは、はじめに親が返済を行い子は返済がありません。子が引き継いでからは子が返済し、親の返済は無くなります。一方でペアローンは、親子で同時に返済していくのが特徴です。

団体信用生命保険が違う

団体信用生命保険を親子リレーローンで利用する場合、主に子が加入します。一方でペアローンの場合は親と子、両者が共に加入します。

団体信用生命保険とは?

住宅ローン返済中に万一のことが発生した場合に、保険金で残った住宅ローンを弁済するための保険

親子リレーローンはどんな人に向いている?

親が住宅ローンを組む際、資産があるにも関わらず年齢が高いために住宅ローンが組めないなどの理由があるご家族に向いています。また、逆に子の年収が低く、今すぐの返済は難しいものの、将来的に返済見込みがあるご家族にも良いでしょう。

親子リレーローンのメリットとデメリット

ここからは、親子リレーローンのメリットやデメリットを考えていきます。しっかりとメリット・デメリットを理解し、ご自身にあった住宅ローンをご検討してください。

親子リレーローンのメリット

子の年齢を基準にして住宅ローンが組める

親子リレーローンの場合、引き継ぐ子の年齢が住宅ローン審査の判断材料の1つとなります。そのため、親の年齢が高齢でも、親の単独ローンより住宅ローンを組みやすくなるメリットがあります。

親の単独ローンより月々の返済額は少なくなるかもしれない

子の年齢を基準とした住宅ローンの返済期間であれば、親の年齢を基準とした住宅ローンの返済期間よりも返済期間は長くなります。返済期間が長ければ、同じ条件下の場合、毎月の返済金額は少なくなります。

親子で住宅ローン控除が受けられる

親と子の持ち分に応じて、特定の条件を満たせば、住宅ローン控除はそれぞれで受けられます。

住宅ローン控除とは?

住宅ローンを利用して住宅を取得する場合に、金利負担を軽減するために作られた制度で、所得税から控除されます。

住宅ローンは1つなので諸経費が1件分で済む

親と子それぞれが住宅ローンの申し込みをするペアローンでは、保証料や手数料などがそれぞれに発生します。しかし親子リレーローンであれば、1つの住宅ローンなので、1件分で済みます。

親子リレーローンのデメリット

他のローンが組みづらくなる

親子リレーローンは、子が連帯債務者となります。そのため、今返済していないからといって、他で住宅ローンを組んで別の家を購入しようとしたり、別のローンを組んだりすることは難しくなるでしょう。

親が亡くなっても債務が残る

住宅ローンを契約する際、団体信用生命保険に加入します。主に子が被保険者となるので、親が返済中に万一亡くなっても残った住宅ローンは支払わなければなりません。当初考えていたよりも早い時期に、返済義務がくるかもしれません。

相続税や贈与税に注意が必要

登記によっては、親の持ち分が相続財産となるので、他の兄弟と相続でもめる可能性があります。また、二世帯住宅の所有者を複数設定しているのを解消しようとすると、贈与税が発生する場合もあるので注意しましょう。

親子リレーローンの要件や流れを押さえておこう

最後に、親子リレーローンの要件や親子リレーローンを組むまでの基本的な流れを簡単にご紹介いたします。金融機関によって、少しずつ流れは異なりますので、詳しくは申し込みをする金融機関にお尋ねください。

親子リレーローンの要件

同居中もしくは同居の予定がある

同居中や同居の予定を前提とした親子リレーローンが一般的です。しかし中には、同居しなくても親子リレーローンが組める場合もあるようです。

子の年齢が20歳以上、親の年齢が70歳未満

引き継ぐ子の年齢を基準とし返済期間を決めるので、子の最終返済時の年齢が80歳未満で返済期間を組みます。また、借り入れには年齢制限があるため、子は20歳以上・親は70歳未満となっているのが一般的です。

団体信用生命保険への加入

団体信用生命保険への加入は子が被保険者になるのが通例ですが、親子ともに加入を義務付ける金融機関もあります。フラット35の場合は、親のみ加入が可能です。

親子ともに安定した収入がある

どんな住宅ローンでもあてはまる要件ですが、住宅ローンを組むためには定期的に安定した収入がある人が前提になっています。

親から引き継ぐ子は1人

複数世帯で同居する場合も、親子リレーローンを親から引き継ぐ子は1人となっています。申し込み前に相談して決めておきましょう。

親子リレーローンを組むまでの流れ

親子リレーローンを組むまでの流れを時系列で、並べていきます。融資までの流れを簡単に把握しておきましょう。

1.金融機関に相談 住宅ローンを検討している旨を相談し、金利や借り入れ可能額、返済計画などを相談します。
2.住宅ローン事前審査申し込み 住宅ローンの借り入れができるか、金融機関に事前審査を申し込みます。現在の年収や他での借り入れ状況、これまでの返済状況などを調べ、お金を貸してもしっかり返済してくれる人なのかを判断されます。
3.住宅ローンの申し込み 事前審査で住宅ローンの借り入れができるか、またどれくらいまで借り入れできるのかがわかるでしょう。事前審査でOKがでれば、正式に住宅ローンの本審査申し込みを行います。本審査は金融機関や保証会社からさらに詳しく調べられます。
4.審査結果通知 住宅ローン審査の結果が通知されます。万が一借り入れ不可となった場合は、現在他で借り入れしているものを全額返済したり、期間をあけたりすると再度申し込みが可能になる場合もあるでしょう。また、ほかの金融機関では審査OKとなる場合もあるので、信頼できる金融機関や不動産会社の人に相談してみてください。
5.住宅ローンの契約・火災保険申し込み 審査結果がOKであれば、契約へ進みます。住宅ローン契約後は火災保険などの申し込み手続きにうつります。
6.融資実行・抵当権設定 住宅ローンの融資が実行され、保証会社が土地と建物に抵当権を設定します。
7.登記完了 登記手続きが完了すれば、住宅ローンの手続きは完了です。返済予定表や必要書類などは、郵送される場合もあります。

まとめ

親子リレーローンのメリットは大きい! しかし、相談できていないと後々もめる原因にもなります。
親子リレーローンだと、親にも子にもメリットがあります。しかし、デメリットも理解しておかなければ、相続時に他の家族ともめることもありえるでしょう。二世帯住宅や親子リレーローンを組む際は、該当する家族だけでなく、ほかの家族を交えてしっかり話し合って決めることが大切です。

執筆:山村 希美

この記事の執筆者

山村 希美

2007年証券会社入社。窓口などで投資の相談や提案を行う。2011年2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験合格。結婚、転勤を機に退職。出産後ライターとして活動中。短期長期の家計把握や投資などお金にまつわる情報収集をしながら記事の執筆を行う。FPの知識を生かして、マンションの購入・売却も経験。その後、現在の住まいである一戸建てを購入。