家を買うときや借りるときに誰しも一度は考えるのが、「どっちがお得なの?」という疑問ではないでしょうか。そこで今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の観点からそれぞれのメリットやデメリットの解説はもちろん、不動産投資にも活用できるお得な法則もご紹介いたします。
家を購入するメリットとデメリットは?
家を買う場合の4つのメリット
1.家を購入することで資産になる
家を購入するメリットのひとつは、家が資産になることです。購入すれば家を賃貸に出しても売却しても、家の権利を持っている人の自由となります。住宅ローンとの兼ね合いはありますが、お金に困った場合に賃貸や売却で現金を得ることも可能です。
2.住宅ローンが終わればお金のやりくりに余裕が出る
家を購入する場合、多くの人が返済期間35年などの住宅ローンを組んでいます。例えば購入時に、「これから35年も返済しないといけない」と考えると負担に感じる人もいるかもしれません。しかし、住宅ローンの繰り上げ返済※を定期的に行い、定年するまでに完済すれば、それ以降の毎月の支払いは必要なくなります。そうすれば住宅ローンに充てていた分を貯金したり、生活費に充当したりできるのです。
[用語説明]繰り上げ返済とは?
毎月の返済額とは別にまとまった金額を返済し、ローン残高を減らすこと
3.持ち家なので自由にリフォームできる
先ほど説明したように、家を購入すれば家の権利を持っている人の資産になります。そのため、壁紙を変えたり部屋を区切ったりなどリフォームは自由自在です。
4.賃貸物件に比べると住宅設備の質が高い傾向にある
最近は賃貸物件にも省エネ設備を取り入れたものがありますが、賃貸に特化した必要最低限の設備となっている場合があります。逆に販売用の家であれば、長く快適に住むことが前提となるので、耐震・省エネにも考慮されており、最新の設備を導入することも可能です。
※設備、オプションは物件によりことなるため、都度ご確認ください
家を買う場合の3つのデメリット
1.安易に引っ越しができない
引っ越す場合、家を売却するか賃貸に出さなければ、住宅ローンと新居の家賃の二重に費用がかかってしまいます。家を購入した場合、引越しを行うためには賃貸以上の労力が必要になります。
2.購入するときに出費がかさむ
家を購入するときには、物件価格のほかに登記費用や火災保険料など、様々な諸経費がかかります。購入予定の家の価格や、中古物件か新築物件かなど、さまざまな要因で初期費用は変動しますが、必ず必要となってきます。
[補足説明]不動産購入時の諸経費と税金について
くわしくはこちらのページをご参考にしてください
https://www.fukuya-k.co.jp/buy/tax
3.家の管理をしなければいけない
持ち家の場合、マンションなら修繕積立金、一戸建てなら外壁や屋根などが壊れたときに、修理負担をしなければいけません。また地震や火災が発生した場合、保険の加入状況にもよりますが、住宅ローン返済もしつつ復旧のための費用がかかることがあります。そのほかにも、家を所有することで固定資産税も発生いたします。
家を借りる場合のメリットとデメリットは?
賃貸の場合の3つのメリット
1.自由に引っ越しができ、ライフスタイルに合わせられる
賃貸なら「違うエリアに住みたい」と思ったとき、持ち家に比べて引っ越しがしやすくなります。また、賃貸なら予算に応じて家賃が選べるので、家族が増えれば広めの物件に、子供が独立すればコンパクトな物件に引っ越すなど、ライフスタイルに合わせて調整が可能です。
2.設備修理費用がかからない
もし、入居当時の設備が壊れたら基本的には家主負担になります。もちろん地震などの災害が起きたときの修理も家主負担です。そのため、借主に設備修繕費用はかかりません。
3.住宅ローンや固定資産税の支払い負担がない
持ち家のように住宅ローンを組む必要がないので、数十年にわたる返済義務を負うことはありません。収入に見合った家賃の家を借り、毎月その金額を支払えば良く、収入が減れば引っ越せばいいため、気持ち的に楽と考える人もいます。また、購入時と同様に駐車場代や共益費などが必要な場合もありますが、賃貸なら固定資産税を支払う必要もありません。
賃貸の場合の2つのデメリット
1.自由にリフォームできない
生活する上で、「壁紙を今の気分の色にしたい」や「この壁に備え付けの棚があると良いな」「この壁が無いと広くなるのに」などと考えることもあるでしょう。しかし賃貸の場合、改修は基本的に禁止されています。また賃貸物件は契約終了のときに原状回復して受け渡さなければいけないため、気分によって壁紙を変えるのは難しい場合があるでしょう。
[補足説明]原状回復
契約締結時の状態や存在したであろう状態にすること
2.住んでいる間は家賃を払い続ける必要がある
持ち家だと、住宅ローンの返済が終われば住宅費用の支出はなくなります。しかし賃貸の場合は、住んでいる間ずっと家賃を支払わなければいけません。そのため年金生活となった場合に、仕事をしていたときと同じように家賃を支払うのは金銭的に負担になるという人もいるでしょう。
「家を買う」と「家を借りる」どっちがお得か判断するには?
ひとつの判断基準としておすすめなのが200倍の法則
[用語説明]200倍の法則とは
購入予定物件を賃貸で住んだ場合と比較して、購入した方が得か損かを考える方法
200倍の法則って何?
気に入ったエリアや物件があった場合に、購入しようか賃貸にしようか迷った人におすすめなのが「200倍の法則」です。この200倍の法則は不動産投資家が、投資するときのひとつの判断材料として使う指標といわれています。
200倍の法則の使い方
不動産投資の経験則から生まれたもので、利回り6%の投資物件であれば、ある程度利益が得られるという考えをもとにできたものです。
たとえば中古物件を含めて探すと、200倍の法則を使ってお得に買える可能性もあるので使い方をご説明いたします。
ただし、「どうしてもこのエリアの物件が良い」「この物件が気に入った」のであれば、200倍の法則にとらわれず総合的に判断すると良いでしょう。また、信頼できる不動産会社が要る場合、その人に相談すると良いと思います。それでは具体的に、数字を使って「200倍の法則」を説明していきます。
200倍の法則の具体例
<前提:以下の購入価格と家賃の場合どっちがお得?>
購入したいマンション金額 2,500万円
購入したい物件と同等の賃貸物件の家賃相場 14万円
<計算式>
14万円×200=2,800万円
上記の計算式の場合、購入したいマンションは200倍にした2,800万円以下の金額になるので、お得物件になります。このように、購入価格と家賃を比べる際に200倍の法則はひとつの目安となります。
持ち家は資産にもなるので、不動産投資と同じような意味合いがあるでしょう。せっかく購入するなら、投資価値のある優良物件を手に入れることをおすすめします。
トータル費用に差はない!?50年間で比べた購入時と賃貸時の費用
なぜ50年のトータル費用で比べるのか
世帯主が持ち家となる割合が多くなるのが30歳代です。その世代の平均余命や現在の平均寿命、住宅ローン契約終了年齢などを考えると80歳代まで家に住み続けることになります。30歳で家を買い80歳まで住む場合、おおよそ50年居住すると考えられます。これをもとに、50年間持ち家に住む場合と賃貸で暮らす場合で、いくら差が出るのか簡単にシミュレーションしてみました。
購入と賃貸を50年の総額で比較した一例
人物像:夫の年齢30歳(妻、子ども1人、郊外の住まい)
購入:3000万円の一戸建て
賃貸:家賃9万円のマンション
▼上記の場合のそれぞれの50年間のトータル費用(参考価格)
購入 | 賃貸 |
---|---|
毎月の返済額:8万9,000円 (金利2%、返済期間35年、元利均等返済) |
家賃:9万円 |
頭金:300万円 | 更新料:9万円(2年に1回) |
諸経費:300万円 | 敷金・礼金:27万円 |
固定資産税:10万円(1年に1回) | 仲介手数料:9万円 |
リフォーム費用:500万円 | |
合計:5,356万円 | 合計:5,661万円 |
このシミュレーションは、必要最低限の項目のみピックアップしています。
実際にはシミュレーション以上のリフォーム費用が必要となったり、賃貸では何度か引っ越したりなど、これ以上に費用が加算される可能性が高いです。ただこちらの結果では、家を購入した場合も賃貸の場合も、さほど金額は変わらないことが見えてきます。
まとめ
- ライフプランに合わせてどちらがお得か考えよう
- 上記から「資産として考えるのであれば個人的には持ち家の方がお得」だと考えます。しかし実際には、それぞれの考え方やライフプランで、持ち家にするのか賃貸にするのか判断が必要になるでしょう。たとえば「老後に住居で困りたくない」「子どもになにか資産を残してあげたい」という人は持ち家がおすすめです。
「老後に十分な貯蓄がある」「好きなときに好きな場所に住みたい」という人は、賃貸が良いかもしれません。 どちらがお得なのかは、考え方や人生設計によって変わるため、これまでにご紹介した内容と、各々が描くライフプランと照らし合わせ、持ち家にするのか賃貸にするのか考えましょう。