
ファイナンシャルプランナー(FP)2級保持者の海田幹子です。
家を購入するとき、新築住宅か中古住宅かで迷う人も少なくないでしょう。人生で最大の買物といわれるマイホームの購入は、しっかり検討することが大事です。今回は、新築住宅と中古住宅のどっちがお得なのか、一緒に考えていきましょう。
目次
新築住宅と中古住宅、それぞれのメリット・デメリットは?
新築住宅4つのメリット
1.建物や内装が新品
誰も住んでいない真っさらな家に魅力を感じる人は多いでしょう。
2.注文住宅なら自分好みの家が作れる
注文住宅であれば、間取りや設備から使用する木材や断熱材にいたるまで、自分で好きに決めることが可能です。マンションも、建築前に内装が選べるタイプもあります。
3.税制面で優遇されている
新築住宅の購入は、中古住宅の購入よりも税制面で優遇されていることもメリットのひとつです。土地や家屋の所有者に毎年課せられる「固定資産税」、土地や家屋に所有権を登記する際に必要な「登録免許税」、土地や建物を購入したときにかかる「不動産取得税」の3つの税金が軽減されます。
4.瑕疵担保責任の権利がある
新築住宅には柱や壁、給排水管などに不備があった場合、販売した事業者が10年間保証を行う瑕疵担保責任が義務づけられています。新築の方が、トラブルに対応してもらいやすいことを覚えておきましょう。
新築住宅3つのデメリット
1.実際に物件が見られないことがある
新築住宅は、実際に物件を見ないまま契約に至ることもあります。事前にモデルハウスを見学したとしても、実際の家を見て「ちょっとイメージと違うな」と思ってしまうことがあるかもしれません。
2.販売経費が上乗せされるため価格が高い
新築物件の住宅価格には、土地や家屋の価格の他に広告代などの販売経費が上乗せされることがあるため、中古物件に比べて価格が高くなりがちです。
3.希望のエリアに物件があるとは限らない
いくら新築住宅が欲しくても、希望のエリアに家を建てるための土地がなければ、手に入れられません。新築住宅が第一優先事項の場合、希望のエリアで購入できる確率は下がってしまうので、デメリットといえるでしょう。
中古住宅4つのメリット
1.住宅の価格が新築物件に比べて安い
中古住宅の良さは、まず新築物件と同条件で比較した場合の価格の安さが挙げられるでしょう。木造戸建ての場合、10年経つと建物部分の価値は半分、20年経つとほぼ0になるといわれており、築年数が古い物件の価格は土地価格のみのケースもあります。
2.実際に物件を見ることができる
すでに建築済みなので、物件を実際に見られる点もメリットです。
内装や外装の状態だけでなく、ご近所や周辺環境なども確認できます。
3.住みたいエリアで物件を見つけやすい
新築住宅よりも中古住宅の方が多くの物件が流通しているため、住みたいエリアで物件を見つけやすくなります。
4.リフォームやリノベーションを行えば自分好みにアレンジできる
お金はかかりますが、リフォームやリノベーションで内装を自分好みにアレンジすることもできるので、好きな土地に気に入る家を手に入れることができます。
立地を優先する人は、中古住宅も視野に入れると良い物件に巡り合いやすいでしょう。
中古住宅3つのデメリット
1.新築より修繕時期が早く来る
住宅の築年数にもよりますが、新築よりも修繕時期が早く来ることは避けられません。中古マンションであれば、購入後に修繕積立金が値上がりすることも考えられるでしょう。
2.マンションの共有部は交換できない
新しくリフォームしたくても、できる部分は限られています。
たとえば窓のサッシやベランダといったマンションの共有部は交換できません。
3.新築より税制面で優遇されていない
中古住宅は新築住宅のメリットで挙げた「固定資産税」「登録免許税」「不動産取得税」の軽減が、新築住宅に比べると優遇されておらず、築年数が20年を過ぎた木造戸建てでは、住宅ローン減税が受けられない可能性もあります。
「新築住宅」VS「中古住宅」どっちがお得か徹底比較
価格面では中古住宅がお得
新築住宅よりも中古住宅の価格が安くなることは予想がつきますが、どれくらい安くなるのでしょうか? 首都圏の新築マンションと中古マンションで比べてみると、新築と築5年以内の中古マンションならその価格差は200~300万円ほど、築6年~10年であれば700~800万円、築21年以上になると2000万円以上安くなるケースも多く見られます。ただし、人気の立地では土地の値段が高いため、住宅価格があまり下がらないことも多いでしょう。
固定資産税、登録免許税など税金面では新築住宅がお得
新築住宅と中古住宅では税金面のお得度がどのくらい違うのか、「固定資産税」「登録免許税」「不動産取得税」の軽減措置をそれぞれ見てみましょう。
新築住宅 | 中古住宅 | |
---|---|---|
固定資産税 | 戸建ては3年間、マンションは5年間、建物分の固定資産税が半額 | なし |
登録免許税 | 建物分の固定資産評価額×0.15% | 建物分の固定資産評価額×0.3% |
不動産取得税 | 建物の固定資産評価額から1200万円が控除 | 築年数ごとに控除額が違う |
上記からも、どの税金でも新築住宅の方が、手厚い軽減措置が受けられることがわかります。
年数が経っている中古物件は住宅ローン減税が受けられない場合がある
住宅の取得やリフォーム・リノベーション費用のローンが10年以上の場合、税金控除が受けられるのが、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」です。控除期間は10年(2019年10月~2020年12月までに取得した場合は13年)で、ローン残高の1%(1年間で最大40万円まで)の税金控除が受けられます。
注意したいのが、旧耐震基準の建物は、住宅ローン減税の対象にならないことがほとんどです。新耐震基準が開始したのは1981年6月からなので、それ以前に建てられた住宅を購入するときは、耐震構造を詳しく確認しておくと良いでしょう。
住宅価格、税金面、住宅ローン減税を見てみると、住宅価格は中古住宅、税金面と住宅ローン減税では新築住宅の方がお得ということがわかりました。新築にも中古にもお得な面がそれぞれあるので、住宅購入の際にはトータルで見てどちらがお得かを考えることが大切です。
新築・中古住宅を購入するときのチェックポイント
新築住宅を購入するときのチェックポイント
1.周辺環境や開発計画の有無をチェック
学校やスーパー、病院などの施設が家からどれくらい離れているか、治安の良し悪しはどうかなど、周辺環境は事前にしっかりチェックしておく必要があります。また、購入後に再開発が行われた場合、生活が便利になることに加え、周辺の地価が上がるため、高く売れる可能性も出てきますので開発計画の有無もチェックしておきましょう。
終の棲家にする予定の人は、子育てから老後までを考え、どのライフスタイルでも住みやすいと思える場所を選ぶと良いでしょう。
2.不動産会社のアフターサービスをチェック
新築を購入すると、事業者の瑕疵担保責任が10年間あります。
しかし、責任は住宅の基礎構造部分にしか適用されません。そこで、大切なのが不動産会社選びです。瑕疵担保責任でまかないきれない部分の対応や住まいの定期検診など、会社ごとにさまざまなアフターサービスを実施しています。
不動産会社を比較検討し、アフターサービスに強い会社を選ぶことが、住宅への満足度につながっていくでしょう。
中古住宅を購入するときのチェックポイント
1.建物の修繕状態をチェック
築年数が建てば建物は劣化していくものです。屋根や外壁・基礎部分に雨漏りやひび割れ、破損などはないか、くまなくチェックしましょう。また、適切な修繕が行われているかどうかも重要です。外壁の塗り替えなど、適切な時期に適切な処置がしてあるかどうかで、購入後のメンテナンス費用は変わってきます。
2.建物の耐震性をチェック
先に少し触れましたが、1981年6月に新耐震基準が施行されました。大規模な震災でも住宅の倒壊を免れる住宅を建てなければいけないという基準です。それ以前の基準を旧耐震基準といい、1981年以前に建てられた建物は、旧耐震基準しか満たしていない可能性があります。
家族の安全に加えて、住宅ローン減税にも関わってくるので、どの程度の耐震性があるのかどうかは、中古住宅を購入する上で大切になってくるでしょう。
まとめ
- 新築住宅と中古住宅は一長一短。自分にとってはどっちがお得かを考えましょう
- 新築住宅・中古住宅それぞれにメリット・デメリットは存在し、お得な面とそうでない面があります。大切なのは自分の譲れる点・譲れない点を見極め、自分にとってどちらがお得になるのかを考えることです。購入の際は、それぞれチェックするポイントが異なるので、満足のいく住宅を手に入れるため、しっかり比較検討すると良いでしょう。